べに山桜の旅

平成二十七年やまつ辻田二十選べに山桜の旅三十四

  【平成二十七年二月】
 

『精一杯の風景』

朝三時半起床、五時より15日間、二十年目の寒行本日満願。
東京の催事の数日間以外一日も休むことなく二十年間立ち切りました。

二十年間でつかんだささやかながらの悟り。

一、 寒稽古が僕の人生の一大事と位置づけ、絶対に都合をつけない。子供達には「日本武道館で優勝することよりも大切」と話し続けた。どんなことがあっても寒稽古の場に立つと決めてからは、寒行が進むにつれ疲労がピークを越えながらも、「怪我」「病気」が回復してゆく(笑)。そんな感覚(ゾーン)に入るのを感じた。
二、 自分と向き合い、捨て身の心と身体を作るには、限界をこえた寒稽古の場面での人と人との「心のつながり」が大切。かかり手(生徒)は、目の前の元立ち(先生・先輩方)に命をあずける。そして元立ちは受け取ったその命を慈しみ、精一杯練り鍛える。かかり手と元立ちの思いの深さ(心のつながり)が「本気の精一杯」を作る。
 寒行(剣道)は生きる術を授ける宗教なのである。

今年退官を迎え四十一回目の寒行を立ち切られたお師匠様にいただいた宝物はどんな未熟な子供達に対しても、心を込めて元に立たれる『精一杯の風景』でした。

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